五井野正博士について私の知り得たことを語ります。
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五井野正 博士 に関する資料1 SFマガジン 2003年6月号
五井野 正 博士七次元よりの使者がネットで読める様になったこともあり、以前SFマガジンに掲載されたレビューをご紹介したいと思います。

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SFマガジン 2003年6月号
P.172~ SF奇書天外 連載30 北原 尚彦


あなたがある一定以上の年齢のSFファンだったら、きっとこの本の題名に覚えがあるはずだ。そしてまず確実に「読んでいない」ことだろう。認知度は非常に高いのに、読了率は極めて低い ― それが五井野正『七次元よりの使者』(創栄出版)である。
全四巻だが『第○巻』があることでよく知られる。もちろん「大霊感」との語呂合わせだ。

実を言うと、わたしはこの本を全巻揃えていなかった。本稿執筆のために古本屋を探したが、いざ必要になると見付からない。かつては、古本市場にごろごろしていたものだが。

そこで持っていそうな人に借りようと、横田順彌氏や星敬氏や日下三蔵氏に問い合わせたのだが「持ってたけど処分した」「持ってるけど出てこない」「持ってるけど揃ってない」などのお言葉。
結局、自分の蔵書と、牧眞司氏からお借りした本、さらに図書館から借りた本とを合わせて、ようやく全巻が揃った次第。

で、早速第○巻を読み始めたのだが、どうも話が良くわからない。ハタと気が付いて奥付を調べたら、判らないのも道理。一巻が一九七五年、二巻が七六年、○巻が七七年、三巻が八〇年という刊行順だったのだ。○巻の序文にどの巻からでも読めるとあるが、結果からいうと一・二・三・○と読むのが無難。○巻は結局「別巻」だったのだ。

気を取り直して、第一巻から読む。登場人物は、以下の通り。避厚地のホテルで知り合う二人の女性、美智恵と美佐子。よくUFOを目撃する人気フォーク歌手・大木雄。重力エネルギーに関する本を書いた、売れっ子新人作家・石川雄一。代議士を操り富士山噴火説によって首都移転論をぶち上げようとする大助。様々な研究をしているコスモス研究所の、前田太一やその他のメンバー。転生を繰り返して一万二千歳になるというチベットの、シュミーブラフサッタ(通称シュミー)。石川雄一がディスコで出逢った謎の青年、正法(まさのり)。

で、ストーリイはというと ― 日本各地でUFOがしばしば目撃される。それは間もなく地球に大異変が起こされるからで、UFOは地球人を救うために現れている模様だった。その異変とは、富士山の大爆発らしい。コスモス研究所では、異変に備えて円盤を造って宇宙に旅立とうとしていた。・・・だが、登場人物たちはやたらと哲学的な討論をするばかりで、話はなかなか進まない。オリオン座だの、ブラックホールだの、アートマンだの、アトランティスだの、地下王国だのという単語はふんだんにちりばめられているものの、物語自体はあまり大きな展開を見せないのだ。目次に「第二部 富士は燃ゆ」「第三部 東京脱出」とあるから、実際に富士山が噴火し、人々が東京を脱出するのかと思ったら、結局富士山は無事なまま第三巻が終わってしまう。

ところが、『第○巻』は、がらりと趣が変わる。地球に輪がかかり、地軸の傾斜角がどんどん増加しつつある、というスゴイ局面から始まるのだ。しかも、コスモス研究所は、地球外の「太陽系連盟」とエーテル波動通信器で連絡を交わしているではないか。太陽系連盟は、地球を救うために多数の円盤を送るという。一方、ヒマラヤの奥地の秘密の場所では、地球がこのような状況に陥るまでの経緯について、シュミーが大師から説明を受けていた。

やがて、太陽系連盟の宇宙船に石川雄一が乗り込み、金星人のウイリットンや火星に住んでいたというチルリらが彼を迎える。だが、地球の地軸の傾斜はさらに大きくなりつつあった。やがて、太陽系外からの通信が入る。それは時空間の違う宇宙 ― 梵天からだった。

そして今度は、地球の中 ― 地底王国。首都シャンバラで、一人の女性が聖者アロンに案内されていた。それは美智恵だった。彼女は、地球の中心にはブラックホールがあるのだ、と知らされる。

最後に、大通智正法(だいつうちまさのり)が、乙姫とともに宇宙母船 ― 竜の船と呼ばれたムーの秘法であり、五次元体つまりアートマン以外は乗れない ― によって水星へと向かうことになる・・・でオシマイ。結局、地球はどうなったのかよく判らない。
『七次元よりの使者』は何回か出し直しされており、異なるバージョンが存在する。表紙が変わったり、扉が変わったり、読者から送られてきた自動書記による文章が巻頭に付け加えられたり。ソフトカバーだったのがハードカバーになったり、巻数表記がなくなって副題が付されたり、うーむ、SF奇書コレクターとしては、異版も全部揃えなければいけないのだろうか。・・・今となっては大変そうだなぁ。

その後、一九八五年に「新七次元よりの使者」が同社から刊行された。「秘密の核シェルターの巻」なる副題が付されているとおり、北アルプスの「第二シェルター」なる場所から話は始まる。これは人間が建造したものだが、「神の神」とも言うべき存在の助けにより、未来の技術をも用いて造られたものだった。

続く舞台は、一気に火星。火星人が、秘かに地球の様子を窺っていたのだ。そして「第一シェルター」は地球の衛星「月」にあることが明らかにされる。

そして、日本には核戦争に備えて国会議員とその関係者だけを収容する核シェルターが用意されていることが語られる。アメリカにもやはり、大統領ら一部の人間だけのためのシェルターがあった。

その後は一転して、山の中に山荘を造って自給自足の生活を送ろうと日本全国から集まった集団の話となる。でも彼らも、最終的には核シェルターが必要だ、という結論に達する。著者は是が非でも核戦争の危機を訴えたいらしい。

いよいよ最後。太陽系外からやってきた宇宙船が、地球の発する一条の光線に気付いた。それは宇宙に向けて発進される意識エネルギーだった。この宇宙船は火星人の宇宙船との交信し、さらにはそこへアンドロメダ星雲からの宇宙船もやってくる。地球は今、重大な分岐点に立っていたのだ・・・。

三巻までに予告された富士山爆発はどうなったの? ○巻の地軸のズレは?登場人物も全く違うし。結局『新』は第○~三巻の続篇というよりも、全く別な話と思った方が良さそうだ。今度こそ完結、と思って読むとがっかりするので御注意を。著者はもしかして、まだ続きを書くつもりかもしれないし。

著者の五井野正は一九五〇年新潟生まれ。ウイッピー総合研究所、創栄出版などを設立(自分の出版社だったのだ!)。他に『法華三部経体系』『科学から芸術へ』等の著書あり。『七次元よりの使者』コンサートを開いたり、レコードを出したりとかなり謎の人だ。最近は、世界各国で浮世絵の展覧会を開催するなど海外にまで進出している様子。

SFにジャンルを限らずとも、『七次元よりの使者』が一九七〇年代を代表する奇書であることは間違いあるまい
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